湿り気を帯びた土の中は、種にとって 何時までも心地よいところだ。
宵星の森は、種が動くのを、今かいまかと 待ちあぐねている。
でも、種はちっとも動かない。
静かな地中に 聞こえる音は、種のまわりをカサコソ進む、
見えないはたらきもの。
土のともだちでもある、この小さな 見えないはたらきものが
歩んだあとは、フカフカであたたかい空気が、すき間を埋める。
芽は、フカフカふとんでお休み中。
宵星の森は、ゆっくりと、急がずに待っている。
宵星
湿り気を帯びた土の中は、種にとって 何時までも心地よいところだ。
宵星の森は、種が動くのを、今かいまかと 待ちあぐねている。
でも、種はちっとも動かない。
静かな地中に 聞こえる音は、種のまわりをカサコソ進む、
見えないはたらきもの。
土のともだちでもある、この小さな 見えないはたらきものが
歩んだあとは、フカフカであたたかい空気が、すき間を埋める。
芽は、フカフカふとんでお休み中。
宵星の森は、ゆっくりと、急がずに待っている。
宵星
ようこそ、宵星の森へ。
今宵は、
新たな星めぐりが始まる夜。
にぎやかに 奏でる祝祭の音もなく、
誰かに 新たな日のお祝いを告げることもありません。
ただ、静かに。
宵星の森には、まどろみを帯びた風が
ゆるやかに 通りすぎていきます。
そこへ、
まだ名のない やわらかな風が
木の枝のあいだを
そっとなびかせていきます。
なにかを新しく決めなくても、
なにかを強く誓わなくても、
星は巡り、
風はめぐり、
日々は常に続いていきます。
森の扉をひらいたとき、
こころの片隅に
小さな光の雫が灯るのなら、
それだけで、
今宵は 満ち足りているのかもしれません。
宵星
今宵は、森に
やわらかい風が通っています。
宵星の森には、
吹く風も さまざまなかたちがあります。
いつも、同じではありません。
頬を さらりと撫でていく風もあれば、
全身で受け止めるほどの、
確かな気配をまとった風もあります。
宵星の森への扉は、
いつでも そっと開かれています。
扉をひらいた瞬間、
頬をかすめる風の動きを、
少しだけ感じてみませんか。
風が通り抜けたあと、
森には 静かな余白が生まれます。
葉の揺れは おさまり、
音は、やわらかく遠のいていきます。
そして、
足もとに広がる土の感触に
ふと 気づくのです。
湿り気を含んだ土は、
今日という一日を
静かに受けとめています。
楽しかった時間も、
何も起こらなかった穏やかな時間も、
そのすべてが そこに在るまま、
宵星の森は、
今宵も 静かに 呼吸しています。
宵星